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海綿状血管腫

海綿状血管腫とは


 海綿状血管腫は血管奇形のひとつで小さな出血を繰り返すことで拡大していきます。しかし動脈瘤、動静脈奇形などとは異なり血流は非常に遅い血管腫瘍であり、破れるのは静脈成分なので一回の出血で強い症状がおこるわけではありません。
 大脳半球にできると痙攣がおもな症状で、脳幹にできると複視、顔面のしびれ、顔面神経麻痺などが出現します。痙攣を症状とする大脳半球の海綿状血管腫を摘出する目的は、痙攣発作の抑制です。発作に罹患してから長期間たっていると、血管腫だけが異常脳波の原因ではなくなっていることもあり複雑です。罹患期間が短いならば、血管腫の摘出によりけいれん発作の軽減、消失により抗けいれん薬の減量、中止をはかることができます。

脳幹海綿状血管腫とは


 脳幹海綿状血管腫について説明します。一回の出血により起こる症状は、2〜3か月でほぼ回復し重い後遺症は残りません。しかし、脳幹の海綿状血管腫は再出血率が高く数年後に再出血をきたし、症状が出現してまた2、3か月で軽快しまた出血します。
 このようにして再出血を繰り返すうちに、再出血までの期間がだんだん短くなって1〜2か月となっていき、後遺症状も強くなっていきます。血管腫は最初のうちは脳幹深部に埋もれていることが多く、これを摘出するには正常の脳幹に切り込まねばならず、それに応じた新しい合併症(感覚、運動障害など)が生じます。従って脳幹海綿状血管腫は手術の時期の判断が大切です。数回の出血で血管腫が大きくなり脳幹表面に近くなり、摘出に際し正常脳幹への切りこみが最小限になった時が理想時期と考えます。これを社会復帰可能な段階で行えるように手術時期を考えます。早すぎても遅すぎてもよくないと思います。脳動静脈奇形に対してはガンマナイフ、サイバーナイフなどの定位放射線治療の効果がありますが、海綿状血管腫対する効果はないといわれてきました。しかし最近、脳幹海綿状血管腫再出血をおさえるという報告が僅かですがでてきました。
実際の症例

(左:術前、右:術後)
右上下肢の動きにくさで発症した視床 血管腫の症例。全摘出され右上肢の触覚 位置覚が低下しました


(左:術前、右:術後)
左上下肢の不全麻痺で発症した症例。全摘出されています。