診察ご案内




髄膜腫

髄膜腫の種類と症状

 視力障害をきたす鞍結節髄膜腫、蝶形骨縁髄膜腫症例では、初発例で腫瘍の圧迫による視神経の傷みが少なければ摘出手術により視力の回復が可能となります。
 視力障害で発見される鞍結節髄膜腫の場合2cm前後の大きさのものが多く、手術は難しいものではなく手足の麻痺などの合併症も経験ありません。最も起こりやすい嗅覚障害も若干低下した方がおられた以外経験ありません。
 蝶形骨縁髄膜腫は視力障害を来たしている場合、かなり大きなものになっていることが多く、内頚動脈など大事な血管が巻き込まれています。髄膜腫には柔らかいものと固いものが存在し柔らかいものであれば血管が巻き込まれていても比較的安全に摘出できます。固い場合は血管や神経などの大事な構造物の周囲にある程度残す場合があります。
 聴力障害、三叉神経痛、顔面のしびれ、ふらつきなどで発症し発見される脳幹周囲の髄膜腫には斜台、錐体斜台部髄膜腫、テント髄膜腫などがあり、これらがいわゆる頭蓋底腫瘍といわれるものです。脳の正中部、最深部にあるもので、診断された時点で症状の割にかなり大きくなっている傾向にあります。特にふらつきが出現している場合はその傾向が強く、治療法は外科的摘出術がまず行われ、腫瘍が残存すれば病理検査の結果に応じ、経過観察あるいはγナイフ、サイバーナイフ照射が行われます。

髄膜腫の手術

 摘出術は腫瘍に到達するために頭蓋底部の骨を削除して行われることが多く、また摘出時の腫瘍からの出血量を抑えるために外科手術前にカテーテルにて腫瘍血管の塞栓術を施行することもあります。摘出術の難易度は先ほどと同様にやはり腫瘍の固さによります。巨大な頭蓋底腫瘍の場合、2日に分けて行う方針を採ることがあります。
 1日目に頭蓋底部の骨削除を行い腫瘍の状態を調べて摘出が容易ならばそのまま摘出にはいり1日で終了させます。固いもの、出血し易いものならばある程度摘出したあと1日目を終了し翌日に残存部位を摘出します。
手術後
 頭蓋底腫瘍の摘出後、脳をつつんでいる硬膜が大きく欠損しがちです。頭皮下の筋膜、筋肉、骨膜や腹部よりの皮下脂肪などを使い頭蓋底部の修復をおこないます。この修復を確実に行うことが、髄液漏、髄膜炎などの予防として重要です。感染の合併がなければ、術後3週間程度で退院可能となります。
 髄膜腫により有効聴力が低下あるは消失している場合でも摘出術後聴力が回復することがあります。聴神経腫瘍の場合は腫瘍摘出にて聴力が改善する可能性はかなり低いことと対称的であり、摘出に際し聴神経に対し愛護的操作を心がけます。髄膜腫が嚥下、発声をつかさどる舌咽神経、迷走神経にからんでいる時には患者さんの年齢にもよりますが無理な剥離操作による神経ぎりぎりの摘出は避けるべきと考えます。60歳以上の方に嚥下障害がおこりますと肺炎を合併しやすくなり入院期間も長くなってしまいます。舌咽、迷走神経周囲に残存した腫瘍に対しては、経過観察或いは定位放射線にて対処しています。
実際の症例
鞍結節部髄膜腫

(左:術前、右:術後)
視力、視野障害にて発症した患者さん 腫瘍(↑)は全摘出され 視力は回復しました。


蝶形骨縁髄膜腫

(左:術前、右:術後)
右視力低下、ふらつきにて発症した患者さん 腫瘍は全摘出され症状は消失しました。


(左:術前、右:術後)
ふらつき、高次機能低下にて発症した患者さん 腫瘍は全摘出され症状は消失しました。


(左:術前、右:術後)
再発症例で右失明状態のため海面静脈 洞内含め全摘出しました。


錐体斜台部髄膜腫

(左:術前、右:術後)
ふらつきで発症した症例。頭蓋底 手技を使用せず全摘し症状とてまし たが、聴力が一過性に低下しました。


(左:術前、右:術後)
顔面のしびれ、聴力低下で発症した症例 この症例は聴力を必ず残すために頭蓋底 手技を用い、全摘後しびれは消失し聴力 に変化ありませんでした。


(左:術前、右:術後)
ふらつきにて発症した症例 頭蓋底手技を用い全摘出しました


(左:術前、右:術後)
左眼球運動障害で発症した方で頭蓋底 手技で海面静脈洞部以外を摘出後、 サイバーナイフ照射しました。


(左:術前、右:術後)
ふらつきにて発症した方で頭蓋底手技 を用いて摘出後、歩行が著明に改善しま した。


(左:術前、右:術後)
ふらつきにて発症した方で頭蓋底手技を 用い摘出しました。一過性に眼球運動障害 出現しました。


(左:術前、右:術後)
ふらつきにて発症した再発症例で 他医にて頭蓋底手術をうけており 通常の手技にてほぼ全摘出しました


(左:術前、右:術後)
ふらつきが進行した再発症例 亜全摘後、サイバーナイフ照射 行いました


(左:術前、右:術後)
顔のしびれ、有効聴力消失の症例 通常の手技で全摘出し、しびれは 消失し2か月後に聴力回復しました



3か月後の聴力検査にて ほぼ正常域になっています