診察ご案内



聴神経腫瘍

聴神経腫瘍とは

 聴力低下、耳鳴り、顔のしびれ、ふらつきなどで発症し発見される腫瘍です。聴力低下、耳鳴りで発見された場合は1.5cm以下の小さな腫瘍の場合が多く、ふらつき、顔のしびれなどで発見された場合は3cm以上の大きな腫瘍の症例が多く有効聴力は消失していることが多いです。

治療方法について

 このような大きな腫瘍では脳幹が圧迫されており早めに開頭腫瘍摘出術を受ける必要があります。2cm以下の小さな腫瘍で有効聴力がある場合、聴力を温存した摘出が可能であり1.5cm以下のものであればさらに聴力温存の可能性が上がります。腫瘍の表面には顔面神経が引き延ばされて張り付いておりこの神経を傷つけないように腫瘍を摘出します。4cm以上の大きな症例、再手術症例、γナイフなどの放射線照射後の症例の場合は腫瘍と神経、腫瘍と脳幹の癒着が強い場合があり、無理な剥離操作により神経を痛めてしまい顔面神経麻痺などを引き起こすことがあります。このような時は全摘出にこだわらず、神経或いは脳幹表面に薄く腫瘍を残存させ無理な剥離はおこないません。
 残存させた腫瘍の再発、拡大の可能性はありますが、経過をみていますとそのまま変化のない症例も多く、増大傾向が認められた場合はサイバーナイフなどの定位放射線治療をおこないます。腫瘍摘出時、腫瘍から著しい動脈性の出血を伴う症例があります。止血に時間を要し術後出血もおこり易いですので、ある程度の腫瘍摘出と止血が得られた段階で手術を終了しその後、定位放射線治療を行うほうが良い場合もあります。
手術後の経過について
 手術後、ふらつき、顔面のしびれなどが出現することがありますが手足の麻痺、意識障害などは経験していません。ふらつきは50歳台前半までの患者さんならば1カ月以内で消失することがほとんどですが、60歳台後半より御高齢の場合、完全に消失するのに1年くらいかかることがあります。ふらつき、めまいは症状が消失するといよりも、めまいになれていく(船酔いに慣れていくように)といった要素のほうが大きいと思います。大きな腫瘍でも手術後2週間弱で退院して日常生活に戻れる方もおられます。

実際の症例

(左:術前、右:術後)
ふらつきで発症した症例。顔面神経は 温存され症状は消失しました。





(左:術前、右:術後)
ふらつきにて発症した他医術後 再発症例。腫瘍は全摘出され顔面 神経機能は2か月で回復しました




(左:術前、右:術後)
ふらつきで発症した両側聴神経腫瘍の症例。右顔面神経に一部腫瘍を残したがほぼ摘出され、両側とも顔面神経機能は問題ありません。


(左:術前、右:術後)
耳鳴で発症し短期間に増大した症例で腫瘍は摘出され 聴力は温存されました。





(左:術前、右:術後)
耳鳴で発症し短期間に増大した症例で腫瘍は摘出され 聴力は温存されました。

上の症例のオージオグラム。左が術前で右が術後です。有効聴力温存が示されています。